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登記事項証明書が取得できない!?『登記事件の処理中』とは?

登記事項証明書を請求したら、「請求のあった登記情報は、登記事件の処理中です」というエラーメッセージが表示されて、取得できないケースがあります。
このエラーメッセージはシステムエラーなどではなく、登記簿の内容が書き換えられている最中であることを意味しています。
では、このエラーメッセージが出た場合の対処法などはあるのでしょうか。
また、どれくらい待てば再び取得できるようになるのでしょうか。
「登記事件の処理中」という状態について、その原因や取得できるまでの期間などを解説します。

不動産登記権利情報

不動産や会社に関する情報は、法務局にある「登記簿」に記録されています。
この登記簿は誰でも閲覧することができ、インターネット上でも、「登記情報提供サービス」で登記情報を確認することができます。
また、登記されている内容を証明する書類が「登記事項証明書」と呼ばれる書類で、取得するには登記所の窓口か郵送、もしくはオンラインで申請する必要があります。

こうした登記情報や登記事項証明書の取得に際して、通常は特別なエラーが出ることはありませんが、法務局のデータベース内の情報が登記手続きによって更新されている最中は、エラーとなり、取得できなくなります。

つまり、エラーメッセージの「請求のあった登記情報は、登記事件の処理中です」は、まさに法務局が登記の申請を審査し、登記簿を書き換えている最中であることを示しています。
登記申請は申請人から法務局に書類が提出された後、法務局の担当官がその内容を審査します。
申請書類に不備がないか、添付書類が揃っているかなどを慎重に確認し、問題がなければ登記簿の内容を書き換えるという流れになります。
この一連の作業が行われている間は、登記簿の情報が一時的にロックされた状態になるというわけです。

ロックされて登記情報などが取得できない状態を「登記事件の処理中」や「登記事件中」、もしくは、もっと簡単に「事件中」などと呼びます。
聞き慣れていないと「事件」という言葉に不穏な響きを感じてしまうかもしれません。
不動産登記法や商業登記法では、登記申請や嘱託、または職権によって登記が行われた事実を「事件」と呼びます。

処理期間は登記の種類や内容などで変わる

不動産登記において「登記事件の処理中」が表示されるのは、主に所有権移転登記や抵当権設定登記、住所変更登記などを法務局が処理しているときです。
また、商業・法人登記においては、主に役員変更登記や本店移転登記、商号変更登記などの手続きの最中に、登記事件の処理中となります。

しかし、処理が済んで、ロックが解除されるまでの正確な期間を知ることはできません。
なぜなら、再び登記情報などを取得できるようになる期間は、申請された登記の種類や内容、法務局の状況によって大きく変動するからです。
特に複数の登記が同時に申請された場合や、複雑な内容の登記の場合は、審査に時間がかかり、処理の期間が長くなる傾向があります。

一般的には、不動産登記であれば申請から1週間から10日程度、商業・法人登記であれば1~2週間程度で処理が完了することが多いようですが、管轄法務局の事件処理件数、案件の難易度によって進捗は大きく異なることに留意が必要です。

登記の動きを事前に把握しておくことが大切

不動産売買の決済日や、銀行からの融資実行日など、特定の日に最新の登記情報を確認する必要がある場面でエラーメッセージが表示されると、予定していた手続きがストップしてしまいます。
このような事態を避けるためには、事前に登記の動きを把握しておくことが重要です。
たとえば、あらかじめ登記申請がされていることを知っていれば、「処理中」になることを予測できます。
決済日や融資実行日など、重要な日の直前に登記申請が行われていないか、関係者に確認しておきましょう。

この「登記事件の処理中」という期間があることで、登記簿の正確性が保たれているという側面もあります。
処理が終わるのを焦らずに待ちましょう。